空き家をお持ちの皆さまへ。リノベーションで空き家を生まれ変わらせよう!
日本では、空き家の増加が深刻な社会問題として浮上しています。総務省が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」によれば、令和5年時点での空き家率は13.8%に達し、空き家の総数は約900万戸に上ります。人口減少や少子高齢化が進行する中で、空き家率は年々増加傾向にあり、今後もその数はさらに増えていくと予測されています。
空き家の解体には費用が伴い、更地にすることで固定資産税が高くなるため、空き家のまま放置されている物件が多く見受けられます。さらに、放置された空き家は不法投棄や犯罪の温床となりかねません。
一方で、中古住宅を購入し、自分のライフスタイルに合わせてリノベーションすることで、快適な住まいに生まれ変わらせるという選択肢が注目されています。空き家を新たな住まいとして再生することで、資産を効果的に活用してみませんか。
空き家リノベーションのメリット
資産価値が高まる
空き家は人が住んでいないため、窓を開けて換気することがなく、湿気がこもりやすい環境になっています。その結果、内部が傷みやすく、通常よりも早く劣化が進みます。さらに、壁紙の汚れや基礎部分のシロアリ被害も進行し、放置しているだけでは劣化が進む一方です。 劣化がかなり進んでしまい、もう住めないと感じる方も少なくないでしょう。
しかし、リノベーションを行うことで空き家は劇的にキレイに生まれ変わります。見た目が整うだけでなく、住むことができる状態になり、売却を考える際にも買い手がつきやすくなり、賃貸に出すという選択肢も可能になります。
リスクを未発生のうちに防ぐ
空き家を放置していると、不法投棄や犯罪の温床になるリスクに加え、倒壊の危険もあります。万が一建物が崩壊すれば、近隣住民に迷惑がかかり、倒壊で誰かが被害を受けた場合には賠償責任が発生する可能性もあります。今後空き家を使用するかどうかにかかわらず、家主は建物の安全性を確保する責任があるのです。
空き家リノベーションのデメリット
空き家をリノベーションするには、かなりの費用がかかることがあります。特に長期間放置している場合、予想以上に劣化が進んでいることがあり、出費が増える可能性もあります。さらに、1981年以前に建てられた建物は、現在の耐震基準に適合していない場合があり、その場合、耐震補強工事を含む追加の修繕が必要になり、さらに費用がかかることになります。
しかし、放置しても問題は解決しません。費用がかかることを承知の上で、早めに対策を進める必要があります。
空き家リノベーションのポイントは?
空き家のリノベーションは、物件ごとに状況が異なります。空き家としての期間が短く、築年数もそれほど経っていない場合、簡単なリノベーションで改善できることもあります。しかし、築年数が長かったり、外観から見るとかなり劣化が進んでいる場合には、より大規模なリノベーションが求められることになります。
建物を見ただけでは、必要な工事やその費用をすぐに判断することはできません。特に基礎部分の劣化は目で見てわかるものではないため、素人には判断が難しいでしょう。
そこで、住宅診断を受けることを強くおすすめします。診断費用は5万円~10万円で、専門家が建物の劣化状況やリノベーション費用の概算、さらに今後の対応策についてアドバイスをしてくれます。空き家リノベーションは、住宅診断をもとに進めるとよりスムーズです。
空き家リノベーションに必要な費用は?
全体的なリノベーションの場合
費用にはかなりの幅があり、特に一戸建ての場合、500万円~2,000万円程度が相場です。この費用は、建物の劣化状況や使用する材料、設備によって大きく異なります。
それでも、500万円以下で古民家をリノベーションした事例もあります。設備のクオリティにあまりこだわらず、低価格のものを選べば、300万円程度でリノベーションできる可能性もあるでしょう。
部分的なリノベーションの場合
壁や床の修理、トイレや風呂の設備交換など、部分的なリノベーションの場合、費用は数十万円から500万円程度となります。水まわりの設備は劣化が進みやすいため、最新のものに交換することをおすすめします。賃貸として貸し出す場合、借り手に良い印象を与えるためには、壁や床の修繕がほぼ必須となります。
ただし、売却を考える際には、必ずしも大規模なリノベーションを行う必要はありません。というのも、中古住宅を購入後、自分でリノベーションをしようと考える人が一定数存在するからです。壁や柱の補強、汚れやカビの除去など、最低限の手直しを行うだけでも、購入希望者を見つけやすくなるでしょう。
空き家リノベーションをする際の補助金制度は?
リノベーションを行う際には、国や自治体からの補助金が利用できる場合があります。今回は国からの補助金についてお伝えします。最新情報については、各事業の公式サイトなどで随時チェックしてみてください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
住まいを長期間、安全で快適な居住空間へと保つために、住宅性能を向上させるリノベーションや改修を支援する国のサポート事業です。
補助率は1/3で、1戸あたりの補助金額は、評価基準型で最大80万円、認定長期優良住宅型で最大160万円が支給されます。さらに、三世代同居対応の改修工事を行う場合や、若年層・子育て世帯向けのリノベーションや中古物件購入後のリノベーションの場合、補助上限がそれぞれ130万円/戸、210万円/戸に増額されます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象となる工事は、以下の内容です。
●性能向上リノベーション工事
●三世代同居対応改修工事
●子育て世帯向け改修工事
●防災性の向上・レジリエンス性の向上改修工事
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、断熱性の向上やエネルギー効率の高い設備の導入に加えて、太陽光発電などによる自家発電システムを備え、エネルギーの消費と生産が均衡する住宅です。ZEH基準に適合する住宅には55万円、ZEH+基準に適合する住宅には100万円の補助が支給されます。
空き家は早めの対策が必要
記事で述べたように、空き家をリノベーションするには相応の費用が必要です。しかし、そのまま放置することで問題は解消されず、多くのリスクを抱えることになります。特に、「空き家対策特別措置法」が2023年12月に改正され、倒壊の危険があるとみなされる場合に加え、窓や壁の損傷、草木の放置が目立つ「管理不全空き家」と認定されると、固定資産税が最大6倍に引き上げられる可能性があるとされています。
できるだけ損をしないためには、やはり早めの準備がカギとなります。この機会に、空き家のリノベーションをぜひ前向きに検討してみませんか。